概要(課題や背景、目的など)
街の主要駅近辺という高い資産価値を誇る、15階建ての高層マンション。道路を挟んで北側にある大型マンションのバルコニーが当物件に向いていることから、プライバシー面で配慮が求められた。また、施主様にとって初めての資産活用の取り組みであり、二人三脚でプロジェクトを進めたことも特徴のひとつ。
コンセプトやデザインについて
全体的な外観はモノトーンでスタイリッシュなフォルムに仕上げ、街並みに存在感を与えている。特筆すべきはエントランスの外観と内観へのこだわり。外観には赤みが入った落ちつきの中に優しさを宿す茶色のタイルを使用した。このタイルは施主様が「ホテルのようなしつらえ」を求めてご自身で選定。エントランス内部は和紙ガラスの優しい光壁を設けたことで、街行く人にも入居者にも癒やしを与えている。光壁の下に白いタイルを敷くことで、ベースを漆黒とした床に優しい光が映り込むコントラストを演出。また、夜になるとエントランス横に配置された館銘板が優しく浮き上がるといったきめ細やかな工夫を凝らした。
施主様の進取的な想いを具現化
対面キッチン式のワンルームとすることで10.5畳を確保。部屋全体の専有面積が26㎡(約16畳)に対して広い居住空間を確保するコンセプトを採用。例えば対面キッチンに吊り戸を設置しないことで空間の広がりを最大限に活用する、といった設計上の工夫を各所に凝らした。こうした取り組みは、施主様の強い想いを受けてのもの。エントランスホールにおいても、デザイン性や入居者の快適性を優先し、既存の概念に縛られること無くゆとりある空間を創出した。これらのコンセプトにより当マンションは高い人気を博し、常に高い入居率を誇る人気物件となった。
柔軟な対応で高級感を演出
南側が拓けており採光がしやすいという恵まれた条件を存分に活かした。北側大型マンションへのプライバシー面の配慮として、外廊下に金属ルーバーとガラススクリーンを採用。また、外廊下の外観デザインにおける連続性を低層階と高層階で区切り、変化を与えるデザインは施主様の強い要望によるもの。着手当初の構想にはなかった施主様アイデアについて、設計部門と工事部門が柔軟に対応することで、高級感と落ち着きのある近代的なファサードに仕上がった。
設計者 株式会社リンクス・ビルド 一級建築士 島田 義之
設計協力 ナチュラルデザイン一級建築士事務所 一級建築士 佐藤 修 様