概要(背景や目的などについて)
増上寺の寺域と山手線の間にある立地で、周辺は建物群が密集しており、用地的に間口が狭いという条件があった。ただし、先を見据えると再開発が進む中で“塊のような密集地帯”は変化していくと考え、周辺に対してまったく違う印象を与えるテナントビルにすることを目指した。また、「芝大門」という土地柄を活かし「大きな門」を想起させるファサードの印象を街行く人に残したいという思いを起点に設計がスタートした。
「面」を顔つきにするコンセプトを貫く
メインの道路側の前面を一体的に見せるようガラススクリーンで仕上げることで、「面」として印象に残るような顔つきをデザインした。さらにガラス壁とビル内部の間に、それとはわからないように設置したバルコニーも特筆すべき特徴。道路面からバルコニーを見せずにあくまでも「面という顔つき」をアプローチするコンセプトを具現化した。
透過率を調整。ガラススクリーンで使われた特殊技術
合わせガラスを用いて、その間には着色したオリジナルセラミックプリントを挟み込むことで、透過率を調整。視線と差し込む光を遮った。また、セラミックプリントを均一に施すのではなく、部分によって濃淡をつけることで、強い影や柔らかい影などをメイキング。膨大なデータを用いて、事前にきめ細やかにシュミレーションを実施した。結果、透過率の濃淡によってビル内部からの外の眺めや、街行く人がビルを見たときのガラス面の表情が時間により刻々と変化し、それを楽しむことができるという効果をもたらした。
立地に対するきめ細やかな工夫
大通りに面する正面側と、細い通りに接面する背面側をエントランスに。正面側と背面側にレベル差があり、比較すると裏側は横幅に対して縦幅が低く狭く見えてしまうところを、ひさしをもうけて広くみせる工夫をするとともに、壁面を奥まで「磨りガラス」にすることで統一感を演出。消防関連用具置き場やリサイクルゾーンを磨りガラスで囲うことで、ゆとりある表情のエントランスを創り上げた。
設計者 株式会社リンクス・ビルド 一級建築士 島田 義之
設計協力 ナチュラルデザイン一級建築士事務所 一級建築士 佐藤 修 様
物件詳細
住所 | 東京都港区芝大門2-9-4 |
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構造 | RC |
階数 | 9階 |
種類 | 店舗 事務所 |
交通 | 都営浅草線 大門駅 徒歩4分 都営地下鉄三田線 芝公園駅 徒歩5分 JR山手線・京浜東北線 浜松町駅 徒歩7分 |